戦績報告


  平成14年度 全日本大学対抗テニス王座決定試合
      王座決勝戦観戦レポート

10/25 2回戦 
早稲田大学
 9-0 松山大学 (複3-0、単6-0)
10/26  準決勝
早稲田大学
 
8-0 関西学院大学 (複3-0、単5-0)

10/27 決勝
早稲田大学
 5-4 近畿大学 (複2-1、単3-3)

【総 括】

戦前は早稲田の圧勝も夢ではないと思われたが、甘くなかった。近大の驚異的な粘りで、壮絶な死闘が展開された。

早稲田は、関東リーグでは2位の法政に7−2で圧勝、前日の王座準決勝でも関西学院に8−0で余裕の完勝。単複どこにも隙なく万全の構え。

対する近大は、前日の法政戦で最終戦までもつれこみ、5−4で辛勝。

早稲田の優位は明白であるかに思われたが、近大が最後まで見事な抵抗を見せた。

そしてとうとう、近大の唯一の勝ちパターンとも思われる単NO.1決戦にまでもつれこみ、緊迫感は頂点に達した。ここで早稲田4年の宮崎が歴史的大爆発を見せた。
 

【複NO.3】
宮尾・金山は、ペアを組んで日が浅いが、直前の関東学生でいきなり優勝し、個々の力量の高さを見せ付けた。それが大会規定によりNO.3で出場するのだから、圧勝かと思われた。しかし、近大ペアは意地の粘りを見せた。同時平行のNO.2がファイナルセットに突入した時、未だ1セット目が続いていた。宮尾・金山は、相手を力でねじ伏せようとしすぎたのか力みとミスが目立った。2セット目は相手も力尽きた。

【複NO.2】
宮崎・堂野ペアは、2年前、それぞれ目立った結果が出せないでいた頃、即席ペアを組んだインカレインドアでいきなり優勝し、周囲を驚かせた。当時パワーばかりで技術に欠ける宮崎と、コントロールは良いが決定力に欠ける堂野が、
絶妙の相性を見せた。今や学生テニス界有数の名ダブルスに成長した。対する近大ペアも素晴らしかったが、やはり早稲田の名コンビが一枚上手であった。

【複NO.1】
素晴らしい試合だった。4年生の清水・糟屋は、宮崎・堂野に遅れること1年、昨年のインカレインドアで優勝して開眼した。宮崎・堂野と同様に、互いの不足を補いあって最高の相性である。しかもこの王座に向けてさらに磨きをかけてきた。学生界随一のビッグサーバー糟屋と粘り強いストロークが自慢の清水が、ポーチ等の連携プレーも身に付け、最高の仕上がりを見せた。対する近大も、抜群の強豪、李選手と、主将の潘選手の関西学生優勝ペア。李の学生離れしたプレーは最大の脅威であった。試合開始直後から意地と意地がぶつかり合い緊迫した名勝負になった。潘にやや精彩がなく徐々に早稲田有利の展開に。ファイナルセットで早稲田が4−1でリードした時、それまで周囲を威圧していた李が初めてがっくり肩を落とした。ところが、この時、逆に潘が元気になった。李の背中を叩き励ました。ここから近大の驚異の粘りが始まった。6−5で早稲田が2度のマッチポイントを握ったがこれも凌ぎ、とうとう逆転勝ちしてしまった。

早稲田は、もう一歩のところで複3−0を逃した。そして近大は辛うじてシングルスに望みをつないだ。大混戦の始まりだった。
 

【単NO.3】
複で最後まで長引いた清水と潘のNO.5対戦を後回しにし、NO.3,NO.4、NO.6の試合が同時にスタートした。2年の金山は、一昨年のインターハイチャンピオンで関東学生もベスト4。持ち前の抜群のテンポとスピードをいかんなく発揮し、1時間足らずで町井を一蹴した。(応援しようと思ったら、もう終わっていた)

【単NO.6】
鎌野は、早稲田随一の華麗なテクニックと芸術的なフォームを持ち、強豪揃いの現4年生でただ一人、1年生のリーグ戦からレギュラーとして大活躍した名手。上位でも十分通用する実力者だが、この日は噛み合わなかった。体の切れが悪く微妙に打球がずれたのか? 組み立てパターンが「勝つテニス」よりも「見せるテニス」になってしまったのか? 本来のリズムが掴めなかった。ひとつ歯車が合えば、いつでも勝機を見出す実力を持つだけに残念であった。

【単NO.4】
堂野は、他の選手のような圧倒的な武器はないが、試合巧者で、接戦にも強く勝率が高い。ファイナル3−0でリードしたが、油断したのか疲れたのか単調になってしまった。逆に積極的にネットにも出だした末田選手にペースを摑まれ逆転されてしまった。堂野の敗退で、にわかに雲行きが怪しくなってきた。

【単NO.5】
両校の主将対決であり、重要な試合であった。清水は、人一倍練習熱心で、主将としてチームをまとめてきた。以前はパワー不足とも言われたが、トップクラスで通用するまで実力を身に付けてきた。ストローク中心に地力に勝る清水が終始優勢に試合を進めたが、終盤に大変な山場を迎えた。2セット目5−3リードの時点で、堂野が敗退。にわかに重圧が早稲田の主将を襲った。タイブレークに突入すると両校の応援も更にヒートアップ。「頑張れ」「攻めろ」「落ち着け」味方の応援も火に油を注ぐよう。清水が一球毎にあげる声にも悲壮感が漂い、力めば力むほどボールは飛ばない。もはやどちらがリードしているのか分からなくなった。最悪の展開さえも頭をよぎった。しかし、努力の清水が土壇場で踏ん張った。相手の潘も同様の重圧と戦っていたのかもしれない。双方、立派だった。

【単NO.2】
宮尾は、昨年の王座で李を破って早稲田を王座を導いた。JOP大会でも上位に入り、今や学生界を代表する選手でもあり、早稲田の大黒柱である。対する五藤選手も素晴らしい選手だが宮尾の方が格上。早稲田側は、宮尾で 決着をつけたかった。試合開始から宮尾がパワーで五藤を圧倒し4−1リード。ところが五藤はよく粘った。宮尾は力みすぎて、相手をよく観察することを忘れてしまったようだった。 1セット目をまさかのタイブレークで落として、ペースを崩してしまった。教訓になる敗戦。これで早稲田陣営は青ざめた。

【単NO.1】
王座での李は素晴らしかった。法政戦でも格の違いを見せ付けていた。技術面・体力面・精神面だけでなく、試合運びのうまさにおいても学生のレベルではなかった。打って良し、守って良し。憎いほど強さを見せ付けていた。

対する宮崎は、かつてインターハイチャンピオンであり、昨年のインカレインドアのチャンピオンではあるが、人間離れしたパワーテニスの印象ばかりが強く、荒削りで確率は低いというイメージ。NO.1決戦には持ち込みたくないと思っていた者も多いだろう。

ところが、頼みの宮尾がまさかのファーストダウン。2セット目もサービスブレークされて1−3に。この非常事態の真っ只中、センターコロシアムで、宮崎・李の決戦が開始されようとしていた。
そして豪傑・宮崎の驚異的プレーが始まった。
男宮崎、やるしかないと思ったのか?
野獣が、血の匂いを嗅ぎつけたのか?
大声援と好敵手に、一世一代の晴れ舞台を見出したのか?
とにかく凄かった。

試合開始と同時にトップギアー、ゾーン状態である。全ての球を凄まじく強打する。対する李も全く負けずに打ち合った。宮崎の強打のコースを正確に読み負けじと打ち返す。深いフラット、地を這うスライス、スピン強打、ロブを巧妙に配球し、宮崎が崩れるのを待つ。これには並の選手は耐えられないはずだ。ところが宮崎は、これら全てを更に強打し続けた。ただ事ではなかった。1試合を通じてこれを続けられるはずがない。いずれペースが崩れるはずだ。近大側は皆そう考えたはずだ。そして李はそうするための全ての策を実行した。

警戒すべき場面は2回あった。1セット目4−2リードでコロシアムがざわついた。宮尾が敗退したのだ。俄然近大側が勢い付いた。重圧が宮崎を襲い流れが変わるのでは。ところがヒーロー宮崎にはむしろプラスだったのか?そのまま6−2でファーストをもぎ取ってしまった。2回目の重要な場面は2セット序盤、李が仕切り直して執拗に抵抗してきた。ところが、宮崎は益々エンジン全開。これでもかと集中砲火を浴びせ続け、終盤には強烈なネットプレーも見せて李の息の根を完全に止めてしまった。終わってみれば、李のチャンスらしいチャンスは一度もなかった。

「今日の宮崎には誰も勝てない」「学生の大会でこんなプレーは何十年見たことがない」と学生もOBも敵も味方も観衆も皆感嘆した。
あとから聞くと、高知からご両親も応援にみえられていたそうだ。
宮崎フィーバーで幕を閉じた感のある王座決勝だったが、清水主将をはじめ、ボーラー、応援も含めてチーム全体の素晴らしい奮闘ぶりは、真の日本一と呼ぶに相応しかった。

                         text=松本 浩



ドロ−表(結果)


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