戦績報告

  観戦レポート vol.1

    NCAA選抜vs早稲田 
       


 6月14日(土)午前930分有明スタジアム・センターコートに両国国歌と「都の西北」が高らかに響き渡った。格調高い開会式の後、10時から世紀の日米対決が開幕した。

 women's singles No.2
荒川 望 7−8(6)
Raquel Kops-Jones(U.C.Berkley)

衝撃的な幕開けであると同時に、今大会を象徴する緊迫した名勝負だった。

一方的な展開になるのか?白熱戦になるのか?両国関係者も観客も固唾を飲んで見守る中いよいよ注目の第1試合の選手が入場した。選手紹介アナウンスに会場の大観衆も沸いた。

Kops-Jonesは、今年の全米学生ダブルス優勝者で、毎年個人戦・団体戦の全てで素晴らしい成績を残すという。鍛え上げられた精悍な体つき。サーブ・ストローク・ボレー・戦術全てにおいてハイレベル。あだ名は「ROC」とのことだが、「Mr.Perfect」格闘家のホーストを連想させる。対する荒川は、一見したところ俊敏には見えず高校生の面影が残る。ところが、試合が始まるとNCAAも観客もド肝を抜かれる。Jonesのフォアの強打にも、鋭いバックのアプローチ&ネットプレーにも、荒川は堂々と渡り合った。それどころか打ち合いでは圧倒する場面さえも見せた。あせったのかMiss.Perfectは凡ミスも犯し2-5ビハインド。NCAA陣営は持てる戦術を全て用いて建て直しを図った。前後左右に厳しく揺さぶりをかけて荒川を崩しにかかるJonesと、ひるまず応戦する荒川。手に汗にぎる長い攻防。とうとうタイブレークでJonesが逆転勝利。1試合1時間の予定がいきなり2時間近い大熱戦。場内の興奮とどよめきもおさまらない。激闘の幕開けだった。
 

men's singles No.2
金山敦思 8−6 
Todd Widom (Univ. of Miami)

どうにかひとまず胸をなでおろしたNCAA陣営に次の悪夢が襲い掛かった。Miami大学のTodd Widomは全米学生室内単ベスト4で実に堅牢なテニススタイル。強烈なサーブ、力強く深いストローク、そして相手の球が甘くなると強烈なフォアを放ち、力強いネットプレーで止めを刺す。理詰めで組み立てるテニスだ。NCAAは確実なポイントゲッターをNO.2に配したつもりだろう。ところが金山がそれを上回った。予想通り米選手のパワーに力負けしない。それどころか日本人の遅い球よりも丁度打ち頃だとでも言わんばかりに溌剌として強打を放つ。凡ミスも少ない。NCAAは あせった。Widomの勝利の方程式は崩れ去った。勢い付く早稲田。興奮する大観衆。NCAA勢は動揺を隠せなかった。
 

mixed doubles
江戸寛・福井由佳 8−5 
      
John Paul Fruttero (UCB)/Raquel Kops-Jones (UCB)

荒川・金山ショックに茫然自失したのか、NCAAはここで最大の不覚・失態を犯す。U.C.Berkley最強ペアが早稲田の下位選手ペアに大金星を献上した。Frutteroは全米学生単ベスト4、Kops-Jonesは複優勝。宮尾・波形ペア相手ならばまだしも大番狂わせだ。早稲田ペアの出来も素晴らしかった。Fruterro/Jonesの強烈なショットに匹敵する派手な武器は何一つない。しかし、相手をよく観察していい陣形を取る、一発に頼らず有効なコースを突きチャンスボールを待つ、無理せず賢明なダブルスを大舞台で実践した。本大会日本勢唯一のダブルスでの勝利。貴重な1勝だ。
 

women's doubles
大見映理・山中麻央 2−8 
    
   Raquel Kops-Jones (UCB)/Keiko Tokuda (Stanford) 

NCAAにとって最悪の展開にストップをかけたのはStanfordKeiko Tokudaだった。米国育ちの日本人。小柄な彼女は、一見Miss.Perfectと比べて崩し易く思われたが、意外にタフだった。それどころか素晴らしいファイトと集中力だ。受身にならず的確にゲームを組み立てていた。大見・山中は行き当たりばったりで凡ミスもあり、本来のペースがつかめなかった。このイベントを誰よりも楽しみにしていたであろう徳田慶子の溌剌としたプレーが光った。
 

men's doubles
堂野大和・酒井祐樹 4−8 
   
  Amer Delic (Univ.of Illinoi)/John Paul Fruttero (UCB)

NCAA最強ペアに挑戦した早稲田の下位選手ペア。全米学生単優勝者と単ベスト4NCAAペアに比べて個々人の実力差は歴然。それでも前半は大いに盛り上がった。身長196cmDelic185cmFrutteroの落雷のようなサーブに負けじと酒井のフォアのリターンが炸裂し何度も見せ場を作った。堂野もビッグサーブ対策は十分していたはずだが、NCAA最強ペアとの実力差は如何ともし難かった。
 

woman's singles No.1
波形純理 6−5(3) 
Amber Liu (Stanford)

日差しが消えて小雨がポツリポツリ。協議の結果、コロシアムの屋根が閉じられた。この間約30分間の中断。試合進行が予定より2時間も遅れていたので残り2試合は6ゲーム(5−5タイブレーク方式)に変更された。この時点で、総ゲーム数を競う方式の団体戦としては既に峠を越していた。男女ダブルスで逆転し大差を付けたNCAA。残すは男女の全米学生チャンピオンのシングルス2試合のみ。米の総合勝利はほぼ確実と思われ、ようやくNCAA陣営も落ち着きを取り戻したかに見えた。ところが新たな悪夢が待っていた。2003年度全米学生チャンピオンの敗北である。Amber Liuは、全米ジュニア優勝後、1年間のプロ生活を経てStanfordに進学、つい先日5月末の全米学生シングルスで見事優勝した。「鏡よ鏡。世界で一番美しく強いのは?それは私よ」と自信に満ちた表情だ。対する波形はいつものように飄々としているが大物の風格が漂う。波形もまた全日本ジュニア優勝後、早稲田に進学してインカレ単準優勝複優勝。故障で調子を落としていたとは言え世界を狙える逸材。まばゆいばかりの日米女王決戦だ。先手を取って3ゲーム連取したのは勝気なLiuだった。しかし波形の底力は本物だ。じわじわと実力を発揮し追い上げていく。どちらも力強い完璧なストロークだが、バックハンドでもエースを取れる波形の方が次第に優勢に。波形の圧力の前にLiuの表情にあせりが浮かびミスが出る。とうとうタイブレークで波形が逆転勝利。波形の勝利は本物だ。NCAAのショックは決定的となった。
 

men's singles No.1
宮尾祥慈 5−6(5) 
Amer Delic (Univ.of Illinoi)

もはや両軍も大観衆も満腹状態だったが、NO.1対決はやはり壮絶な白熱戦になった。全米学生チャンピオンに宮尾がどこまで食い下がるか? ダブルスで1試合プレー済みのDelicに対して宮尾の出だしが心配されたが、宮尾の集中力は素晴らしかった。196cmDelicの落雷サーブには場内がどよめくが、宮尾も決して負けてはいない。リターンを低く沈めてラリーの応酬に持ち込むと、堂々たる強打の打ち合いを展開した。見る者を圧倒するパワーテニスの応酬だ。お互いにサービスをキープして迎えた第9ゲーム、ついに宮尾がDelicのサービスをブレークして5−4で王手をかけた。会場の興奮は最高潮に達した。しかしDelicもブレ イクバックし、とうとうタイブレークにもつれ込んだ。タイブレークも手に汗握る大接戦。最後に激戦を制したのはDelicだった。あわやという緊迫した大熱戦に両軍・観客の皆が酔いしれた。窮地でも最後まで勝とうと万策を尽くすNCAAのスピリットが僅かに早稲田を上回った。

 

Reception

かくして夢の競演初日は幕を閉じた。お台場Aqua Cityに移動して総勢200名の盛大なレセプションパーティ。双方健闘を称えて和気あいあいの盛り上がり。私達は思った「NCAAは勘違いしていたかも知れない。初日の早稲田戦は前座で2日目の全日本選抜がメインイベントだと。実際は早稲田がメインで全日本はおまけみたいなもの。早稲田はモチベーションが高いが全日本は言わばゲスト。明日NCAAが気を引き締めて全日本選抜に臨めば、無防備な全日本選抜は総崩れかもしれない」と。 しかしそれは間違いだった。2日目もいつの間にか激戦へともつれ込んで行く。そして早稲田の選手がまたも快挙を成し遂げる。

                              text=松本 浩(S61卒OB)
 



  坂井監督・高橋監督・土橋コーチのコメント    

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